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【実況・小野塚康之 時代を越える名調子】高校野球に学ぶ 昭和を勝ち抜いた広商の知恵(上) 「江川を打てなくても作新に勝てる」 (2/3ページ)

 広商ももちろん、プロ野球で活躍する選手も輩出してはいるが、ここに挙げたような選手たちとはタイプが違う。“広商”にはどの時代にも大看板といえる選手はおらず、強者ぞろいの相手の高い壁の撃破に挑んで夏6回、春1回の優勝を果たしてしまうのだった。

 この活躍が全国にあまたある似通った環境のチームにとって『広島商業にできるのならば、“そのやり方”を取り入れればもしかしたらウチでも可能なのではないか』と勇気と希望を与えた。

 その手法こそが“広商野球”で、しかもリーズナブルなのだ。どう築きあげられてきたのか、戦前の石本秀一監督や戦後になっての迫田監督、畠山圭司監督・部長、川本幸生監督をはじめ多くの名将・知将が「伝統の広商野球」を受け継ぎ磨き進化させてゆく。

 例えば、攻撃はまずバント戦術、3塁ランナーだけでなく2塁ランナーまでがホームを狙うツーランスクイズ。ツーストライクと追い込まれてからのスリーバントスクイズ。走塁ならば1塁ランナーと3塁ランナーの連携でホームを陥れるダブルスチール。打たないという選択肢もあり、ツーストライクを取られてからもバットを振らずにボールを見送り四球を狙う大胆なウエイティング。

 試合を通して常に「何かやるぞやるぞ」と思わせて相手に落ち着きを与えない、また逆に一切そぶりも見せず仕掛けのタイミングを探り、たった1度だけのチャンスを狙って勝負をかけるスペシャルプレー。その戦術の展開にはバリエーションとオリジナリティーがあった。

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