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【西本忠成 トラとら虎】大山よ、32年ぶり「生え抜きミスターT」になれ 主将、4番、大砲と条件はそろった

 阪神の大山悠輔内野手(25)が来季から主将を務めることになった。矢野監督から直接指名されたもので、「チームの勝敗の責任を背負うというか、覚悟と責任感を強く持ってやっていきたい」と意気込んでいる。

 正直、半年前には誰も想像できなかった人事である。キャンプから続いたマルテとの三塁争いに敗れ、6月の開幕戦はベンチスタートだった。そのライバルの故障でつかんだ出番が飛躍のきっかけになる。主に4番を打ち、打率・288(リーグ11位)、28本塁打(同2位)、85打点(同3位)。指揮官も中心打者に成長したと認めたことが、大役抜擢(ばってき)の根拠になった。

 もっとも、性格は物静かで、ナインの先頭に立つムードメーカーのタイプではない。それでも矢野監督があえて選んだのは、肩書が人を変えるという期待ではないか。チームリーダーともなれば常に目配り、気配りは欠かせない。言葉による発信力も求められる。時には重荷になることが、大山を一段と進化させる糧と思っても何ら不思議ではないだろう。

 球団OBのひとりは今回の人事を、「ミスタータイガース」への布石とみる。そういえば藤村富美男-村山実-田淵幸一-掛布雅之と受け継がれてきた猛虎の顔は、掛布引退の1988年以降途切れて32年になる。

 「その間、新庄、鳥谷ら候補者はいたが、4番打者の条件を満たさなかった。主力といえば助っ人かFA選手で、生え抜きのスターすら不在で今日に至る。その意味で大山は久しぶりに現れたミスターTの有力候補。主将、4番、大砲と条件はそろってきた」と評価する。

 残るは3割、30発、100打点のクリアや、タイトル奪取などが必須条件になってくる。決して容易なことではないが、多くの球団関係者は才能の豊かさを認めている。(スポーツライター・西本忠成)

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