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【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】縦断高校野球列島(3)岩手 印象に残る投手たち 大船渡・金野に宮古・元田…花巻東・伊藤翼の延長10回“救援完封”も (1/4ページ)

 岩手といえば私にとっては投手、いの一番に名を上げたいのは大船渡の金野正志。1984年第56回センバツ、初出場で県勢初のベスト4、その原動力だ。超越した制球力で完封が2試合、4試合で被安打わずか18の失点3。でも数字よりも、ホームベースの1塁側ギリギリを通過する直球のラインと白球がキャッチャーミットに吸い込まれるその美しい映像がいまなお私のスクリーンに保存されている。

 心に響いたのは宮古の元田尚伸。1992年第64回センバツに登場。エースで右のサイドハンド、120キロ台の直球で両サイドを大胆に突く。初陣の石川・星稜戦、向って行った最強打者に直球を見事にはじき返され、バックスクリーン右に特大の一発を喫した。

 相手は“ゴジラ松井秀喜”だった。2死2、3塁から全く逃げない勝負に出た。6球を投じボールは1球だけ。自分の力を試した元田の気持ちが伝わってきて手に汗握った。

 戦術的な評価は別として、彼の頭の中は整理されていたのだと思う。続く打席も無死1、3塁、攻め方を変え得意のスライダーを選択したが高く浮き、弾丸ライナーで右中間に持っていかれた。3ラン2発、自分の全てをぶつけた元田が見事に松井に散った。貫いた元田の意志に爽やかな春風を感じた。

 そして3人目は花巻東の投手だ。でも、菊池雄星と大谷翔平はあえて除く。2018年第90回センバツの彦根東との3回戦のことだ。この大会、初戦の2回戦は花巻東が優勝候補の愛知・東邦を、一方彦根東は試合巧者の神奈川・慶応を、共に左腕エースの田中大樹と増居翔太の好投で倒してきた。この両校の対戦の実況の担当だった。

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