記事詳細

【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】縦断高校野球列島(8)茨城 やんちゃ軍団・取手二V 木内マジックは驚きの人心掌握術!! PL黙らせたワンポイントリリーフ (1/3ページ)

 私の全国高校野球地図に茨城県の名が深く刻まれたのが1984年56回選手権だ。木内幸男監督率いる取手二が史上最強のPL学園を撃破して県勢初優勝を飾った。入社5年目、実況修行中で先輩の決勝戦のテレビに噛(かじ)り付いていた私はそこで高校野球の醍醐味(だいごみ)を知った。

 大会の主役は夏2連覇がかかるPL学園、4番清原和博とエース桑田真澄のKKコンビは2年生ではつらつとプレーし実力通り頂点に向っていた。王者に挑んだのはのびのび、普段着、やんちゃ軍団の取手二、その決勝戦は驚きの連続だった。

 朝から心揺さぶられた。甲子園の予報は芳しくなく、開始時刻になっても雨は降りやまず、逆に一時土砂降りとなった。「中止か?」と諦めようとした頃に上がり、当時から神業を誇る阪神園芸のグラウンド整備力もあって30分遅れで始まった。「選手たちの気持ちは?」PL学園はKKコンビが3季連続など経験豊富で王道を行く印象、一方、取手二もこのチームは春夏合わせて3回目で場慣れしていて、表情も明るい。“静”と“動”どちらに吉と出るか見守った。

 経過は1回表に取手二が2点先制し中盤6回にPL学園が1点を返す接戦。迫られた取手二はラッキーセブンに主将吉田剛の2ランホームランが飛び出して絶好の追加点で4対1とする。この時、取手二のカラーが一気に現れた。吉田の喜びようと言ったらない。3塁を回ってから右腕を突き上げガッツポーズを何度も繰り返し、ダッグアウトに戻っても仲間と抱き合い興奮を隠さなかった。白一色で埋め尽くされた球場内はPL学園を応援する人の方が圧倒的に多かったが、黙らせてしまった。

関連ニュース