記事詳細

【編集局から】「お、も、て、な、し」の約束は何だったのか 東京五輪、中途半端な形で強行するのは「もったいない」

 「お、も、て、な、し」。8年前に滝川クリステルが微笑みとともに世界と交わした約束は一体、何だったんでしょうか。今夏の東京五輪・パラリンピック期間中、海外からの観客を受け入れない方向で政府が調整に入ったと言います。

 これでは私も約束を守れない日本人の1人になってしまいます。5年前の夏、リオデジャネイロの街は五輪の幕を下ろそうとしていました。私は特派員として現地を取材し、五輪のホストタウンがいかに活気と熱気にあふれるかを実感。大きな感動と感謝を胸に、知り合った現地の方々や各国からのメディア関係者、ボランティアスタッフらと、「次は東京で会いましょう」と握手を交わして別れを告げたのです。

 海外からの観客は受け入れず、各国からの選手も選手村に縛り付け、日本人しかいない街にどんな交流が生まれ、国民はどれほど五輪精神を体感できるのでしょうか。インバウンドも期待できず完全に骨抜きとなった五輪であっても、今夏に強行してしまえば向こう数十年は日本に開催のチャンスは巡ってきません。

 完全な形で行われる五輪が開催地にもたらすものの素晴らしさを知るからこそ、中途半端な形で強行するのは「もったいない」と声を大にして訴えたい。勇気ある撤退から、再チャレンジを目指すべきではないでしょうか。 (運動部・笹森倫)