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【実況・小野塚康之 時代を越える名調子】四死球もなんの 常識破る天理エース・達孝太の超粘投 (1/2ページ)

 40年取材しているが、私が学んだ野球の常識を覆すパフォーマンスに出会った。投手がやってはならないことのひとつに与四死球がある。「四死球は失点に繋がりやすく、敗戦の大きな要因になる。四死球の分の差で負ける」。これが当てはまらないレアケースが193センチ右腕、天理の達孝太の投球だった。

 準々決勝の仙台育英戦、達は8回を投げて8安打1本塁打7四球1死球で3失点。この数字を見たら「こんなに打たれて歩かせて3失点では済まないはずだ」と誰もが思うのではないか。しかも3連続が初回、2連続が2回と6回にあった。ところがそのイニングに失点していない。制球が乱れても本塁を許さず抑え切る。しかも被安打は8だが、四死球を与えたイニングにはヒットを1本も打たれていない。

 しかし、これはたまたまかと気になって過去2試合を確認してみた(宮崎商戦は3四球で1失点、健大高崎戦は8四死球で完封)。すると、これまで四死球で出した走者は1人も生還させていなかった。

 また、1回戦で161球、準々決勝で164球と投球数の多さが目立つのは、実は責任感を持って丹念に投げている結果なのだと納得した。そこまで投げ切れる体力が何と言っても素晴らしいが、精神力も伴っているのだ。