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【実況・小野塚康之 時代を越える名調子】勝負を分けた今大会No.1のビッグプレー 明豊・阿南心雄の“ザ・キャッチ” (1/2ページ)

 甲子園の名勝負や好プレーは尽きることなく、全力プレーの選手たちが毎日、心躍らせてくれる。決勝打や完封劇などが目立つが、私は好守備が好きだ。

 特に外野手。外野の好守は大きなピンチを救ったり、勝負を分ける分岐点になったりする。しかも甲子園という舞台のファインプレーは格別だ。広い外野のエリア、強い風、走りやすいふかふかの芝生にクッションが施されたフェンス。外野手がアグレッシブになり勝負を賭ける。外野に飛んだ打球は手に汗握る。

 ここまでを振り返ると一番のプレーはこれだ! 29日の準々決勝第3試合、明豊がリードして智弁学園の6回裏の反撃。2点を返し5対3、追い上げムードでなお2死一、三塁、明豊にとっては大ピンチ。4番の山下陽輔が右打席。左のリリーフ太田虎次朗が腕を振って緩いカーブを投げた。山下が真芯で捉えた。会心の一撃は智弁学園に期待を持たせる飛行曲線を描いてレフトへ。「大きいぞー!」

 風も追う。マウンドの太田の眉間にしわが寄り呆然と見つめる。「うわっ! やられた!」。その視線の先にレフトの阿南心雄。精一杯の背走、打球が頭上を越える勢いで飛んでいる。「長打か?!」。そのときジャストタイミングで阿南がジャンプ。「行け! 阿南!」。腕を伸ばしグラブを突き出す。空中でのトライだ。フェンスが目の前に迫る。「危ない!」。阿南は激突、跳ね返され倒れ込む。