記事詳細

「池江の奇跡」起こした医療の進歩 白血病は「治らない病気」ではなくなりつつある

 「ただいま」とつぶやいて3年ぶりに日本選手権決勝の大舞台に復帰、女子100メートルバタフライを制して東京五輪代表を勝ち取った競泳の池江璃花子(20)=ルネサンス。白血病発覚からわずか2年余りで成し遂げた「奇跡の復活」は、医療の進歩と本人の闘争心のたまものだった。

 2019年2月に急性リンパ性白血病と診断された池江は、抗がん剤治療や造血幹細胞移植を行った。入院生活は10カ月に及び、抗がん剤治療の際には1日に何度も吐くなど、体重は一時15キロ以上も落ちた。症状がなくなる寛解状態となり、19年12月に退院。昨年3月にプールに入り、8月に実戦復帰すると、「勝負師」(西崎勇コーチ)の顔を見せるようになった。

 退院直後は食が細かったが、この冬は朝昼晩の3食に加えて補食も取るなど食事管理を徹底して体重を増やし、徐々にたくましさを取り戻した。合宿では1日2度の練習を週1回のペースでこなせるようになった。

 こうした強化は24年パリ五輪を目指すためのものだったが、「選手は結果を残すことが一番大事」という池江は、日本選手権でも予選、準決勝、決勝と泳ぐごとにタイムを伸ばし、コロナ禍で1年延期となった東京五輪に間に合わせた。

 西武学園医学技術専門学校東京校校長で医学博士の中原英臣氏は、「抗がん剤治療や骨髄移植など医学の進歩により、白血病は『治らない病気』というイメージはなくなりつつある。復帰から短期間で優勝という結果を残せたのは、本人の能力やトレーニングの成果という部分も大きいだろう」と池江をたたえる。

 16年に急性白血病を発症したJ2新潟のDF早川史哉(27)は、19年10月に復帰。米大リーグ、ナショナルズのジョン・レスター投手(37)は06年に悪性リンパ腫となったが、08年に無安打無得点試合を達成するなど、大病から復帰するアスリートも少なくない。奇跡は奇跡でなくなりつつある。

関連ニュース