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【今日も一緒にプロレスを楽しみましょう!】「義足のランナー」谷津、聖火リレー参加 モスクワ幻の金 41年越しで「五輪の呪縛」から解放 (2/2ページ)

 19年12月に聖火ランナーに決定し、万全の準備を進めていた。ところが、コロナ禍で20年の五輪は21年に延期となった。聖火ランナーにリレー延期の連絡が来たのは、走行予定日のわずか2日前。谷津は走行ルートの下見をし、足利市長を表敬訪問していたのだ。

 あのポジティブな男もさすがに「オリンピックに2度フラれたよ」と落ち込んだが、再び立ちあがった。「中止ではなく延期なのだから、より良いコンディションで走れるよう、もっとリハビリ頑張るよ」と気持ちを切り替えた。

 とはいえ、コロナは収まらず、ヤキモキする日々。「本当にやるのかな、義足の調整はどうしよう」と、弱気な言葉も口をつくようになった。そんな中、聖火リレーは3月25日に福島からスタート。28日、谷津は特注のランナー用バネ板義足をつけスタンバイ。駆け付けた妹さんら「谷津応援団」の中には母校・足利工業大学付属高校の後輩たちもいた。

 「先輩」とマイクを向けられると「オリャ!」と自らに気合を入れるひと言。周囲には笑顔があふれた。ついに谷津の持つトーチに聖火が灯った。走りだすと、今までの人生が走馬灯のように甦る。「五輪の呪縛」から解放され、達成感にあふれたスッキリ笑みが輝いていた。

 実はこの日、着用していたのはランニング用の義足。ゆっくり走るにはバネが効きすぎていた。「ちょっと怖かったよ」と振り返る。

 3つの義足を使い分けている谷津。歩行用、聖火リレーのために準備したランニング用、そしてファイト用…。昨年6月「義足レスラー」デビュー戦も決まっていた。残念なことに、コロナ禍のために大会も中止されたが、間もなく第三の義足の出番がやって来るに違いない。(プロレス解説者・柴田惣一)

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