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【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】縦断高校野球列島(17)長野 甲子園の歴史に広島勢との激闘あり 2021年春、広島新庄に延長惜敗した上田西に“長野高魂”を見た (1/3ページ)

 心揺さぶる上田西!

 今年のセンバツの上田西は見事だった。延長12回の激闘、サヨナラで広島新庄に0-1と敗れたが、タイブレーク直前のイニングまで全力を尽くした。勝者に値する戦いぶりだ。両校の集中力が好プレーの連続を呼び、ネット裏の私もひき込まれ常に両こぶしを握り締めていた。

 事前の私見としては「広島新庄やや有利」だった。前年秋に中国大会を制し、右の花田侑樹と左の秋山恭平の2人の好投手がいて機動力豊かな攻撃力を持つ経験豊富な試合巧者だ。「初出場の上田西は翻弄されないかな?」と思った。

 でもグラウンドに登場した姿を見て印象が変わった。皆大きな声を掛け合って表情も明るかった。地に足がついていた。長野勢のこの雰囲気は昔どこかで出会った感じだ。「どこだっけ?」と思いを巡らせた。遠い記憶をたどっていきついた。「そうだ!長野高校だ!」…

 泥臭く食らいつく

 遡(さかのぼ)ること37年、私がNHK金沢に在籍していた頃の秋季北信越大会だ。1985年のセンバツをかけ、長野・新潟・富山・福井それに開催地の地元石川の精鋭が集まった。優勝の行方は戦力が抜きんでている星稜と松商学園(長野)が優位とみられていた。そんな中、長野は初戦に快勝し2回戦の星稜戦を迎えた。

 星稜は地元であり夏の甲子園にも出場していて中心的存在だった。選手たちは闘将・山下智茂監督に鍛え抜かれ自信満々に見えた。試合前のシートノックも軽やかで、“名物山下監督のマシンガンノック”で場内を圧倒する雰囲気があった。選手の捕球や送球の流れ、グラブを扱うハンドリングも鮮やかだった。

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