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【ロバート・ホワイティング サクラと星条旗】朝日新聞や三木谷氏、孫氏が反対しても…東京五輪、開催する以上大きな成功と感動を (3/3ページ)

 ソウルでは8500個のコンドームが配布された。これは選手1人当たり1個だった。コンドームの配布量は大会が進むごとに増え、2012年のロンドン・オリンピックでは15万個。16年のリオでは45万個(1人当たり40個)に達した。当時南米地域でジカ熱が広がっていたせいでもあった。

 確かにコロナ禍はコンドームでは対処できない。結果、選手は選手村での親密な交わりをすべて禁止されることになった。

 五輪組織委はコロナ禍では、選手にセックスをしないよう推奨することが当然の義務と感じているかのようだ。

 しかし、世界がどんなに危機に陥ったとしても人間はセックスをやめないもの。人類は、そうした状況下でも喜々としてセックスを続けた。我々人類がいまも地球上に生存していることがその証しだ。

 ならば、彼らに自由にコンドームを使用させて各種の感染を防ぐ方がいい。コンドームが機能するのはそれを使ったときだけ、決して記念品ではない。

 東京のアプローチはここまで世界から多くの批判を浴びてきた。

 アメリカの人気コメディアンでトークショーのホスト、ジョン・オリバーは日本のワクチン接種率が6%を超えていないことを取り上げ、こう言った。

 「あなたの子供がインフルエンザにかかったので誕生パーティーの日取りを変えようとしたら、その日のために雇った道化師に『ノー』と言われ変更を諦めたようなものだ」。IOCを道化師に例えたのだった。

 コロナ禍のせいで、東京五輪は史上最も失望に満ちた大会になる恐れがある。選手はたった1人で食事をするようにいわれ、ソーシャル・ディスタンスを守り、夜も1人で寝る。ハグはなし。歌も応援もなし。選手は空席の目立つスタジアムで戦い、観客は沈黙を強制され、常時、マスクをつけていなければならない。オリンピックの究極の理想である世界中のアスリートが集って、友好を深める巨大なフェスティバルではなくなってしまうだろう。

 だが、開催する以上は、東京五輪には大きな成功をおさめて欲しい。

 少なくともアスリートたちが自身の実力を存分に発揮できること。人々が感動し、後々まで語り継がれるシーンがひとつでも増えること。視聴率が上がり、テレビに広告を出す会社が増え、組織委に多くの金が入ること。

 今は、それが最も重要なことのように思える。

 ■Robert Whiting 作家。米ニュージャージー州生まれ。『和をもって日本と成す』(1990年)で日本のプロ野球の助っ人外国人を描き、独特の日米文化比較論を展開した。この逆バージョンともいえる本コラム「サクラと星条旗」は2007年から好評連載中。

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