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【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】縦断高校野球列島(27)~京都府~ 負けて強くなった京都国際 初のセンバツで“天国と地獄” (1/3ページ)

 京都にとって2021年は京都国際の年となった。

 初の甲子園のセンバツで1勝を上げた。柴田(宮城)を相手にサヨナラ勝ち、初登場を最高の形で飾った。土を踏むだけで帰るのと勝利を刻むのとでは全く違う。さらに2勝目は手の届くところまで行きながらするりと抜けた。まさかの“逆転サヨナラ負け”だ。この初戦と2戦目のギャップがステップアップへの強烈なモチベーションになった。歓喜と失意。勝利を経験した者が感じた敗戦のショックは大きい。突き落とされた谷底からはい上がった夏のベスト4は価値がある。

 京都国際はたくましくなって夏の甲子園に帰ってきた。投手陣ではセンバツの主戦森下瑠大が大きく成長した。速球が威力を増し空振りを取る。左打者に抜群の効果を発揮する曲がりの鋭い外角のスライダーにも磨きが掛かっていた。登板4試合で安定感を発揮し、崩れそうな場面でも立て直しが利いた。右の平野順大も復帰した。京都大会で2試合、わずか11/3しか投げなかったが勝ち進むにつれ2本柱として機能し“投手陣”となった。

 野手も総合力が向上していた。1番の武田侑大に中軸の辻井心、代表格は中川勇斗、守って打って走れるキャッチャー、レベルは大会屈指だ。好リードに強肩。本塁打2本が示す長打力に盗塁できる脚力、足の速い捕手は魅力的だ。170センチ70キロの体格で超一級品のパワーとスピードを身に付けていた。

 試合内容も興味深かった。どれも相手の特徴の中で戦って勝利を収めている。初戦の前橋育英(群馬)はディフェンスを前面に押し出すチームカラーだった。13年夏、エース高橋光成(現・西武)で全国制覇を果たしたときの雰囲気があった。荒井直樹監督が軸に据える超攻撃的守備力、打球に対してより強い姿勢で向かい、その勢いを止めて相手の攻撃に圧力をかける。

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