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【ロバート・ホワイティング サクラと星条旗】大谷翔平で日本を学ぶアメリカン 松尾芭蕉、正岡子規…そして宮本武蔵が説いた二刀流 ギリシャ神話のイカロスに大谷を重ね (3/4ページ)

 好きな時に投げさせ、好きな時に指名打者で出場させる。これにより、フロントが出した分析とセイバーメトリクスに従っていた前年までとは違い、大谷は自身を縛り付けていたあらゆる制約から解放された。

 さらにもう一つ武蔵の有名な格言「一理に達すれば万法に通ず」を紹介し、集中、専念、鍛錬の必要性を強調した。

 最後はこう締めくくっている。

 「大谷はその幅の広さと多才性で野球の古い様式を破壊した。彼は武蔵の二刀流サムライ・スタイルを現代に呼び起こした。大谷の活躍は、変わりゆく時代の中で柔軟性と適応性を持つことの大切さと、多様な領域で幅広くホリスティック(全体的)な経験を積むことの価値を教えてくれると同時に、昔の武士の戦略と鍛錬の教えを映し出している。

 ■まるでイカロスだ

 サンダーランド氏はまた別の記事で、ギリシャ神話の中で太陽に近づきすぎたため、ろうの翼が溶けて地球に落下してしまったイカロスに大谷を重ね、大谷が人間の潜在能力の限界に挑んでいるのではないか、と述べた。

 「イカロスは人間と自然両方の摂理に逆らった」と彼は続ける。「大谷が今やっているのはまさにそれだ。人間の世界から逸脱し、不死の領域に足を踏み入れようとしている。彼は太陽に近づきすぎてはいないか?」

 こうした記事があふれる中、「スポーツ・イラストレイテッド」誌でも9月にベテラン記者のトム・ベルデュッチ氏が熱烈な賛辞を贈った。日本の古い諺「井の中の蛙大海を知らず」から始まるこの特集記事は、日本ネタが尽きたのか、そこから話が西洋文明史に切り替わり、レオナルド・ダビンチに着想を求めてこう続く。

 「大谷はまるでダビンチが絵筆を振るうように球を投げる。ダビンチの作品の筆遣いには穏やかに澄んだ美、柔らかさ、入念さがある。その技術が見事な幻惑を生む…。大谷はダビンチのスフマート技法(物体の輪郭をぼかす描法)を借用しているようだ。人の目には見えないほど巧妙に陰影と色彩をブレンドする技法である。イタリア語を直訳すると『消えた』『蒸発した』を意味するスフマートこそモナリザの微笑みを謎めいたものにし、大谷の投球を相手を惑わすものにする」

 大谷をより現代的なカルチャーに照らした例として、米スポーツサイト「ザ・リンガー」のベン・リンドバーグ氏のように、ガンダムやサイロンといった有機パワーロボットと大谷を比較した記事もあった。

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