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【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】縦断高校野球列島(33)~島根県~ 細腕左腕・和田毅、涙と笑顔のサヨナラ負け 逃げない!絶対にボール球は投げない!! (1/4ページ)

 島根県といえば浜田、甲子園出場夏11回春4回を誇る県立校だ。ハイライトは和田毅(現・ソフトバンク)の時代だ。和田にはグッと惹(ひ)きつけられるドラマがあった。

 和田の甲子園初登場は2年生の1997年夏の秋田商業戦、相手のエースは石川雅規(現・ヤクルト)、左の好投手対決。和田は175センチの細身、頬のラインがシャープで端正なマスク、きゃしゃに見えるが真上から力強く投げ込む。一方、169センチ(当時の選手登録証による)の石川は小柄で野球少年の香りが漂うが、腕の振りは大きく和田より速かったはずだ。

 試合は浜田が初回に先制して秋田商業が追いつき1-1の接戦、5回に浜田が抜け出し2-1、さらに加点して3-1。和田が好投し勝利へ向かって9回裏のマウンドに立った。ここから秋田商業の猛反撃。まず連打で無死一、二塁。ここで同点狙いの送りバント。三塁線に絶妙の転がり、素早く和田が処理に走るが一塁送球が高くそれボールはファウルグラウンドを転々。一人走者が還る。さらにバックアップしたライトの大地本将が急いで内野に返球、これまた乱れ2人目も生還し3-3の同点。

 サヨナラの走者が三塁に残る中で浜田ベンチは2者連続敬遠の満塁策を選択した。無死満塁で打席に石川。和田は瀬戸際に立たされた。いつもなら簡単なはずのストライクが取れない。ボール、ボール、ボール…結局ストレートの四球で押し出し! 痛恨のサヨナラ負けだ! 和田は『3年生に申し訳ない』と両腕をだらりと垂らし視線をさまよわせて顔色を失った。勝利を目の前に連打を喫し自分のミスで傷口を広げそして連続の敬遠策で無死満塁、辛い条件を背負っていた。取材していても心が痛んだ。

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