巨人の宮崎キャンプに臨時コーチとして参加中の球団OBの松井秀喜氏(39)が3日、初体験のノッカー役に悪戦苦闘。フライを打つつもりが半分近くが当たり損ねでナインもファンもズッコケ。ゴロを打った際には観客席から、まさかの「ゴロキング」のヤジが…。米大リーグ・ヤンキースに移籍当初、ゴロの凡打を繰り返し地元メディアから浴びせられた不名誉な称号。その悪夢がプロ生活の原点の地でよみがえってしまった。 (笹森倫)
メーン練習場のサンマリン宮崎。午前10時50分過ぎ、ダッグアウトから出てきた松井氏の右手にはノックバットが握られていた。
巨人で332本塁打、大リーグで175本塁打を放った伝説的なスラッガーが、このキャンプで初めてボールを打つ。ファンや報道陣はもちろん、グラウンド内の選手や関係者がどよめき、熱視線を注がれる中、外野手に向けたノックはなぜか本来の左打ちではなく、右打ちで始まった。
「ノックは左でやったことがないので、昔を思い出して右で打った」
しかし、プロ入り後はもちろん、いつ以来かも思い出せないほどのブランクで披露した右打ちでのノックの腕前は、自身が「ダメでしたね。へへへ…」と苦笑するしかないレベルだった。
フライを打とうとしても、交互にノックした大西外野守備走塁コーチのような、高い放物線を描けない。“ゴジラ”の異名をとった現役時代をほうふつさせるラインドライブの打球を連発したかと思えば、ゴルフでいうところの“チョロ”、さらには4度の空振りも。そのたびに松井氏の「ごめーん!」「ノーノー!」といった悲痛な叫びが響き渡った。