阪神の春季キャンプで「一番変わった」と周囲を驚かせたのは、主将就任3年目の鳥谷敬内野手(32)、その人だ。
「背中でチームを引っ張るタイプ」(某コーチ)と評された男は「黙っているより楽しんでやった方がいい」と練習中も笑顔。守備練習で失策をした新井貴に「もう1本」とヤジを飛ばすなど、周囲を沸かせた。
沖縄滞在は4日と短かった掛布GM付育成&打撃コーディネーター(DC)は「鳥谷がすごく元気なのが印象的だった。チームを引っ張っていこうという意識が強いんじゃないか。それが第一印象」とたたえた。
主将の役目はグラウンド内に留まらなかった。「若い選手が力を発揮できるようにコミュニケーションを意識した」
昨季は「決起集会も首脳陣と選手は別々に行うことが多かった」(球団関係者)とチーム内のコミュニケーション不足が後半失速の要因とする声があったことで、今キャンプ中には和田監督と食事会を開き、能見らとともに意見交換。失敗を繰り返さないという思いが表れていた。
首脳陣に一目置かれている鳥谷にしかチームを変えられない−が球団内の総意だけに、うれしい変化だが「これが阪神に骨を埋める覚悟だったらいいんだけど」とチーム関係者。
海外FA権を持つ鳥谷は今季単年契約。オフには再びメジャー移籍に注目が集まるが、32歳とタイムリミットは目前。今季の残留でほぼ諦めたとみられていたが、関係者には「行けたら行きたい。夢は持ち続けていきたい」と語っているとされ可能性はゼロではない。
掛布DCが「トリプルスリーも狙える」と太鼓判を押すように成績が伴えば、海の向こうからラブコールが送られる可能性が高い。優勝すれば「最高の置き土産と周りは騒ぐし、球団も無理には引き留められなくなるのでは」と前出関係者。
“キャラ変”した鳥谷の見据える先は、生涯タテジマか、それとも…。