阪神のドラフト1位ルーキー岩貞祐太投手(22)=横浜商大=の1軍デビューが近づいてきた。9日、イースタン・リーグ広島戦(鳴尾浜)に先発し5回2安打無失点。視察した中西投手コーチは「後半戦は先発の頭数が足りない。この内容なら(1軍)昇格の可能性は十分」とたたえた。11日の巨人戦で快勝し2位に浮上したチームに追い風となるか。
即戦力とされたルーキーが遠回りしたのは、度重なったアクシデントが原因。1月の自主トレ中に風邪をひいて出遅れ、主力組の沖縄・宜野座キャンプに合流したのは2月中旬。同19日、楽天との練習試合に登板したが1回で4失点を喫した上に左ひじ痛が発覚した。
「完治するのを待ってブルペンで投球練習を始めたのは4月下旬。その後も実戦登板は避けて投げ込みを続けてきた。焦らせるのが一番良くないから調整には時間をかけた」とは2軍首脳。
公式戦デビューとなった7月2日、2軍での中日戦(鳴尾浜)で先発し3回2安打1失点。「初めは緊張したが、ひじの影響はなく、変化球で空振り、直球でファウルを取れた」と手応えを感じていた。
目下、先発ローテはメッセンジャー、能見、岩田、藤浪、岩崎の5人を中心に回るが、6連戦になると穴ができる。現状では鶴、金田ら中継ぎ要員で埋めるしかなく、どこまで持つか不透明なのが頭痛のタネだ。「岩貞にはいいスライダーがあるし、ストレートも146キロは出る。左腕であるのも大きな武器」(1軍首脳)と期待が高まる。
岩貞にすれば、ドラフト4位捕手の梅野や6位左腕の岩崎に先を越され、胸中穏やかでないのは確か。後半戦はドラ1のプライドをかけたマウンドでもある。 (スポーツライター・西本忠成)