海外FA権を行使して米大リーグ移籍を目指す鳥谷敬内野手(33)の慰留と、米アスレチックスからFAとなった中島裕之内野手(32)の獲得に尽力中の阪神だが、敏腕代理人に苦戦しているもようだ。
鳥谷にはブルージェイズ、ナショナルズなど複数球団が興味を示しているとされ、流出の可能性が大。17日の阪神との残留交渉では移籍の意志を伝える可能性があったが結論は持ち越された。これには球団側もニンマリ。「いい条件提示がないのでは? 残留の可能性もでてきた」(関係者)。条件面での上乗せも含め、今後も粘り強く交渉を続ける方針だ。
中島にも条件を再提示する見込み。ライバルとされた古巣・西武が、日本ハムからFA宣言した小谷野を獲得できれば補強は一段落という空気があるとか。となれば、西武の条件を上回る4年総額10億円を提示ずみの阪神には追い風のはず。
だが、当初ライバルは西武、中日の2球団とされたが、オリックスと横浜DeNAが参戦という情報が浮上。中島が米国残留に望みを掛けているともされ、条件面の上乗せに踏み切ったようだ。
一方で「鳥谷の長期化も中島の争奪戦情報も、高条件を引き出すための戦略では」と球界関係者はいぶかしむ。2人の後ろにいるのは、多くのFA選手の最高年俸記録を更新してきた代理人のスコット・ボラス氏。交渉術の特徴は長期化と球団への圧力だからだ。
「交渉球団から十分な条件が提示されないと、資金力のある他球団に売り込みをかける。焦った球団は条件引き上げを余儀なくされる」(同)
阪神が一番怖いのは鳥谷流出と中島獲り失敗のWショック。国内FA市場での補強は全敗ムードだけに、どちらか1人でも確保したいところ。交渉が長期化、マネーゲームになっても引けない状況で、ボラス氏にとって阪神は格好の獲物ともいえる。悩ましい日々が続きそうだ。