総合格闘技「DREAM」、ならびに年末の格闘技の祭典「Dynamite!」、そして、立ち技の最高峰「K−1」。それらの格闘技イベントを開催・運営していたFEGの第三者による破産申請が、裁判所に受理されました。
「DREAM」、「Dynamite!」は、総合格闘技イベント「PRIDE」の元スタッフ達が設立した「リアルエンターテインメント」が引き継ぎ、K−1のほうは、元K−1のスター選手、魔裟斗がイベントプロデューサーに就任したばかりの「K−1グローバル・ホールディングス」が引き継いでいくことになります。
現在、日本の格闘技は低迷期にあるのは確かです。しかし、これから格闘技界を背負って立つことになる両団体には、もう一度盛り上げていただきたいと願うばかりです。
思い起こせば10年前。法人税法違反を犯した私が、K−1を谷川貞治さんにお任せした時のことを思いだします。逆風ではありましたが、フジテレビ、日本テレビ、TBSの3局が、試合をゴールデンタイムで放送し、年末は紅白歌合戦の裏で「Dynamite!」が開催されるなど人気絶頂期を迎えていました。
あれから月日は流れました。テレビ放送が、昨年から終わり、K−1の風評被害も止まりません。そんな現状の中で、格闘技界の再構築のためにあえて火中の栗を拾う、魔裟斗の男気には改めて敬意を表します。
ただ、K−1の苦境は今に始まったことではありませんでした。1993年に私が団体を創設した時は、15団体がしのぎを削るプロレス全盛期でした。ゴールデンウイークには新日本プロレスが福岡ドームに5万5000人を動員し、大仁田厚さん率いるFMWは、川崎球場で4万1000人の観衆を集めました。
そんなプロレス人気最高潮の時、大阪から単身上京。見知らぬ東京で人脈も金もない中で、やる気だけでスタートしたのが、K−1だったのであります。
当時、「ライバルは?」と質問され、「Jリーグ!」と同時期にスタートした人気スポーツリーグの名を挙げた私を、新聞記者さんは笑ったものでした。それから10年で、K−1が格闘技人気をリードする存在になったのは周知の通りです。
魔裟斗君! 志を高く持って、K−1をさらなる高みに引き上げてください。望みは必ずかなう。ファンも私たちも応援しています。
押忍!!
■石井和義(いしい・かずよし) 空手団体「正道会館」宗師で、格闘技イベント「K−1」創始者。著書に「空手超バカ一代」(文藝春秋刊)がある。