ホリエモンこと堀江貴文さんが先月27日に仮釈放されました。
長野刑務所から出所したその朝に、都内に入る車の中からでしょうか、私に電話がありました。
実に明るくて爽やかな声をしておりました。不自由な堀の中から、堀の外の自由社会に出た時の爽快さは、経験者でないとわかりません。短い会話の中で、先輩として一つだけ彼にアドバイスをいたしました。それは「刑務所ボケに気をつけろ!」ということであります。
私は約1年のお勤めの間、計算工場で朝から晩までパソコンと電卓を駆使し働いておりました。
そんなこともあって、「刑務所ボケなどするものか!」と思っていましたが、やはり通常のビジネス判断力が戻るまで半年近くかかってしまいました。堀江さんは、私などよりもずっと若くて優秀ですから取り越し苦労だとは思いますが、少なくても2、3カ月はゆっくり休んで、しっかり現在の自分の状況を見極めて、通常のビジネス活動に戻るべきだと思います。彼はまだまだ若く輝く未来が待っています。
獄中生活経験を生かして、正々堂々と大きな事業を起こしていただきたいと思っております。
彼の刑期は拘置所での未決勾留期間を差し引くと約2年5カ月。刑期満了は11月ですから、約8カ月の仮釈放をお上からいただいたことになります。服役者の再犯率が高く、仮釈放がもらいにくくなっている社会状況の中で、25%も仮釈放をいただいたということは彼が本当に真摯な受刑生活を送ってきた証明でもあります。
また、彼の弁護士さんや、秘書、友人が嘆願書を集めたり矯正局や長野刑務所に粘り強くロビー活動を行い続けた成果だと思います。感謝の心を忘れては人は生きる資格がありません。応援団の恩をしっかりと胸に刻んで社会復帰してくださいませ。
堀江さん、あなたは幸せ者ですね。苦労した分だけ人を統率する器量がつきます。お金で買えないもの、それは男の貫禄です! いい男になってください。
いかに理不尽な判決であろうが、日本国民であるからには裁判で刑が確定すると誰であっても刑務所に行かなければなりません。私たち日本国民は国家によって生かされていることを、遅まきながらに改めてこの雌伏の時に自覚します。刑務所に限らず現代社会も真の自由などありません。朝起き、会社に行って、帰って寝るまで、あれをするな!これをするな! の連続です。真の自由とは案外不自由の中にこそ存在し、幸か不幸かは他人ではなくおのれが決めるのであります。 押忍!
■石井和義(いしい・かずよし)空手団体「正道会館」宗師で、格闘技イベント「K−1」創始者。著書に「空手超バカ一代」(文藝春秋刊)がある。