ブラジルサッカー界は12月から1月にかけてがオフ。この期間、国中でサッカーのチャリティーイベントが行われる。
ジーコがブラジルでチャリティーマッチを始めたのは日本代表監督時代の2004年末のことだ。「成功への近道なんて、偉そうなことは言いたくないけど、コツはひとつだけある。何事も一心不乱にやっていくことだよ」と言ってスタートさせた。
リオデジャネイロにある自身のサッカーセンターで、スポンサーなしの手弁当で始めたイベントは、ジーコの思いに応えて年々支援者が増え、場所が手狭となって08年からはブラジルサッカーの殿堂「マラカナン・スタジアム」で行われている。
ちなみに14年ブラジルW杯前の2年間は改修工事のためサンパウロのモルンビーで行われたが、日本の野球でいえば、巨人の元スター選手が甲子園でチャリティーマッチを行ったようなものだ。
毎年5万人近い観客を動員。09年には“ブラジルサッカー史上最大の犬猿の仲”といわれていた元代表ストライカーのロマーリオに、ジーコから声をかけて7万5000人の大観衆をマラカナンに集めた。これは同国サッカー史上、チャリティーマッチの最多動員でいまだに破られていない記録だ。試合の模様は毎年、テレビで生中継され、収益は日本円で2000万円近くになる。
今年3月に63歳となるジーコは「年を重ねるたびに思うことがある。世の中が混沌としていく中で、将来あれをやろう、こうしようとか考えて動いてもその通りになったためしがない。でもやると決めたことは最後までやり続ける。それがオレのやり方さ」とつぶやいた。チャリティーマッチはその1つなのだ。