ソウル五輪レスリング金メダリスト小林孝至さん

★脱サラし柔道整復師の道へ

2010.05.25


勝ち取った金メダルはその後の人生に大きな影響を与えた【拡大】

 今を去ること22年前、JR上野駅で起きた金メダル紛失事件を覚えている読者は多いだろう。ソウル五輪レスリング・フリースタイル48キロ級で優勝した小林孝至さんは、茨城県の実家へ凱旋帰宅する際、駅構内の公衆電話の上に金メダルを入れたバッグを置き忘れ、それが盗まれてしまったのだ。幸運にも2日後、バッグが発見され事なきを得たが、以来、代名詞となってしまった。

 当時、サラリーマンだったが、現在は自宅のある埼玉県三郷市内で柔道整復医院「元気堂接骨院」を経営している。

 「3年前に脱サラで始めました。ケガと共存した競技生活26年間と、指導者としてレスリングに携わってきた経験を役立てたいと思ったのです」

 開業時は柔道整復師の国家資格は持っておらず、有資格者を雇用。小林さんは、都内・浅草橋にある専門学校に3年間通学した。

 「一番苦労したのは、病名と諸症状を覚えることでしたね。その数は100、200じゃないんです。1000単位ですから本当に大変でした」

 人生2度目の学生生活。ここでも長いレスリングの経験が勉強の一助になった。

 「歩き方や座ったときの姿勢を見ると、その人の不具合がわかるんです。試合の際、相手の弱点を見抜く観察力を養ってきたおかげですね」

 この4月、晴れて試験に合格。常勤スタッフ2人とともに、朝9時から昼休みを挟んで夜8時まで、患者と向き合う。

 「主な治療は、脱臼、打撲、捻挫、関節痛、筋肉痛、神経痛、スポーツ障害、そして交通事故の後遺症などです。基本的に日曜祝日は休みですが、急患にも対応しています」

 土曜日は、片道3時間かけて国際武道大学(千葉県勝浦市)へ通い、レスリング部を指導。後進育成に励む他、日本レスリング協会広報副委員長として普及に務める。

 また講演会やイベントのゲストに呼ばれることも多く、必ず持参するのは例の金メダルだ。

 「お見せするだけでなく、実際に触れてもらうこともあります。それによって、子供たちが夢を持ってくれたら言うことはありませんね」

 ■こばやし・たかし 1963年5月17日、茨城県牛久町(現牛久市)生まれ。高校2、3年時に、高校選抜、インターハイ、国体の3冠に輝く。日大1年時にはアジア大会で優勝。大学卒業後は、社会人でレスリングを続け、88年ソウル五輪フリースタイル48キロ級で金メダル。91年に引退。2007年、脱サラして柔道整復医院「元気堂接骨院」((電)048・951・4980)を開業。国際武道大学レスリング部監督、日本レスリング協会広報副委員長。

 

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