−−ワン切り業者の深い闇−−
あなたも危ない!(2)

こんなものに金払う人もいた!

ワン切り業者の深い闇 ◇業者にとっては簡単で金かからないシステム

 「ワン切りのシステムなんて単純な構造なんだ。金もかからず、けっこう儲かる。しかも、誰でもできる」

 ワン切りサービスを運営している吉田治郎氏(42)はこう豪語する。

 数年前までプリペイドカード式のテレクラや伝言ダイヤルのシステムを運営していた吉田氏は、この業界では“老舗”経営者だ。

 「用意するのは普通のパソコン1台と電話回線。それと、ワン切りプログラムだけ」

 業者は当然ながら、人海戦術で電話をかけまくっているわけではない。作業はすべてパソコンが自動的に行う。

 「電話番号はパソコンがランダムに生成する。携帯番号は11ケタで、最初の090を省いた残り8ケタを作る。電話をかける作業もすべてパソコンで、人間は作業にほとんどかかわらない」

 ワン切りシステムは、携帯電話に必ず備わっている「着信履歴」機能をうまく利用している。

 「携帯には、かかってきた電話番号の着信履歴が残る。でも、相手に電話に出られると通話料がかかる。だから、1回だけ鳴らして切る。そうすれば通話料もかからないし、かけ直してきた相手にだけサービスを提供できる。もちろん、通話料は相手負担で…」

◇あえぎ声は「大昔」のもの

 このように電話番号生成から自動コールに至るまで、すべてがIT活用のシステムで動作するワン切り。だが、実際にかけ直した場合、そこから先は実は意外なシステムが使われている。

 「アダルトボイスを流しているけど、実は、十数年前、流行した『ダイヤルQ2』の“あえぎ声”をそのまま使っているだけ。ただ、今はもうQ2課金はできないから、利用者からの銀行振込がメーン。最初の数分間は無料で聞けるけど、その後は会員登録して利用料を払えば、続きを聞けるという仕組みにしている」

 そんな古びたサービスを今さら利用する人がいるのかと思うが、利用者は多いのだという。

 「当時、Q2で懲りた人はともかく、このサービスは今、逆に新鮮。特に若い子には珍しいみたい。おじさんにも懐かしさから思わず聞き入ってしまう人がいる」

 現代の「高性能パソコン」を駆使し、最新プログラムを運用、「携帯電話の便利機能」を利用して宣伝活動を行い、「十数年前のアダルトボイス」でサービスを提供し、その利用料を徴収する…。この一風変わったコンビネーションで新ビジネスを展開しているのがワン切り業者なのだ。

 だが、吉田氏のサービスでは、徴収できる利用料は1回3000円程度だという。そんな金額で「儲かる商売」といえるのか。

 「バカにしちゃいけない。1人3000円でも、毎月500人が利用したら、いくらになるかわかるだろ。その証拠に、ワン切りで儲けているやつらを紹介するよ」

 次回は「ワン切り長者」ら、ワン切りを“本業”に活動する人々を紹介する。

(ネットジャーナリスト・森一矢)


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