−−サンパツ戦国時代−−
〜1000円店攻防!〜(4)

散髪戦争は第2幕へ突入!

菅沼氏
「私の店も、ヤル気のある理容師になら任せてもいい」と、“スーパー理容室”の夢を語る菅沼氏=神奈川県川崎市
◇技術に不満足…

 「価格破壊はどの業界にもあるが、消費者にとってプラスにならなければ意味がない。理容業界の価格破壊は果たして、消費者の満足感を得ているのだろうか…」

 10分1000円の「QBハウス」に対抗し、15分1000円のメニューを掲げた「スマイルグループ」(神奈川県座間市などに8店舗)のメンバー、千葉芳弘さん(66)はこう話す。

 「格安店に行った客が、帰り道に『直してほしい』と店に寄ったこともあり、うちが1000円メニューを始めたら客足は戻った。消費者は格安店の技術には決して満足していない」

 一方、格安理容チェーン「QB−」は「ロングヘアの女子高生が『ショートにしてください』と来店したことあるが、10分で対応できる範囲を超えていても何とか対処している。でも、QBのキャッチフレーズが『10分の身だしなみ』ということを理解してほしい」と話している。

 「QB−」vs理容店のサバイバル戦争が熾烈を極めるなか、全国理容組合の元講師、菅沼邦夫さん(70)は「QBの技術、サービスなどの業務内容はすべての点で、普通の理容店と比べて劣っているとは思わない」と前置きしたうえで、「QB−」には「2つの弱点がある」と指摘する。

 それは、「全組合店の1000円料金導入」と「技術者確保難」だ。

◇2極分化して“住み分け”進む!?

 「同じ料金になればQBの利点がなくなる。また、一部で『QB−』は美容師を雇用しているが、美容師の管理は理容師の管理より経験上、はるかに難しい。理美容のプロ経営者が最も苦労している技術者管理が簡単にいくとは思えず、多店舗展開をすれば、技術者確保はより難しくなる」

 菅沼氏は「QB−」への対抗手段として、「スーパー理容店」の共同経営を提唱する。

 「駅前の大型店をイスごとに区切り、ヤル気のある理容師に対し、貸しイス制にする。また、若手理容師が数人集まって店を借り、共同で経営に乗り出すのもいい。これなら一番難しい人集めの苦労がない。魅力ある職場ができれば、魅力ある業界に変われる」

 これに対し、「QB−」の小西國義会長(61)は今後の業界について「1000円店と総合調髪の高級店に2極分化。住み分けが進む」と分析。

 「QBを撤退に追い込め」と必死で対策を練る組合店側の姿勢に、小西氏は「おおいに結構」と受け流し、先に指摘された「弱点」にはこう反論する。

 「QBは3年定年制で、『自分の店を持ちたい』とヤル気のある理容師は独立して店長になれる。また、給与などの条件も悪くないので、技術者確保には困っていない。それに消費者は1000円という値段だけで店に来ているわけではない。店に“仕掛け”や感動があるから足を運んでくれている」

 「私は理容では素人ですが、素人の方が消費者の声に注意深くなれることだってある」と、自信を示す小西氏。料金を含めたサービス内容も「すべては消費者が決めること。1000円だって、消費者の満足が得られなければ、下げる可能性もある」と断言する。

 格安チェーンの急成長に、危機感でようやく目覚めた組合理容店。消費者という限られたパイをめぐる「戦国時代」は第2幕に突入したようだ。

(久保木善浩)=この項、おわり


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