−−激突!総選挙−−
〜「あの人」は勝てるのか(7)〜

兵庫7区 土井 たか子(74)

満身創痍のおたかさん。今回ばかりは地元選挙事務所に張り付く日が増えそうだ
満身創痍のおたかさん。今回ばかりは地元選挙事務所に張り付く日が増えそうだ
◇当選11回のおたかさんも、かつてない逆風に…

 「今回の選挙は護憲を前面に押し出し、オーソドックスにやろう」  満身創痍の社民党を支える土井たか子党首(74)は、解散直前、危機感を高める陣営スタッフに対しこう指示した。

 一連の拉致事件で北朝鮮寄りの対応が批判されたうえ、前衆院議員、辻元清美被告(43)の秘書給与ピンハネ事件では自らの元政策秘書も逮捕された。

 「秘書給与流用についてはひたすらあやまるしかない。徹底した地域密着型のドブ板選挙で戦う」と陣営幹部。当選11回のおたかさんも、かつてない逆風に、よろめき、倒れそうなのだ。

 事実上、自民新人、大前繁雄氏(61)との一騎打ち。大前氏は県議6期の実績を持ち、平成12年の西宮市長選に出馬した際は、28票差で当選を逃した。しかも県議会では早くから北朝鮮による有本恵子さん拉致問題を追求するなど、社民党にとって痛い所を突く強力な武器を持っている。

 7区は有権者約43万人。土井氏は前回、14万4000票で圧勝したが、陣営は「今回はまったく票が読めない。なんとかボーダーの10万票を」と、ミニ集会や駅前でのスポット演説、秋祭りへの出席など、まるで新人候補のような密度の濃さで地元回りを設定した。これまでは党首という立場上、選挙期間中も地元には半日もいられなかったが、応援演説も「通常の3分の2程度に押さえた」という。

兵庫7区
土井 たか子74社現
大前 繁雄61自新
磯見 恵子46共新
 まさになりふり構っていられない…といったところだが、背景には兵庫の特殊事情もある。

 県庁幹部によると、同県の場合、中央の自公保の枠組みを超えた「連合・5党協議会」が水面下にあり、低迷する社民にとっては、小選挙区でも有利な地域だった。

 発端は細川内閣時代。社会、新生、公明、日本新、民社の5党で候補者を調整し、その統一候補を連合兵庫などが支援する独自の選挙協力組織だったのだが、紆余(うよ)曲折を経て、最近は「5党協の神通力も消滅した」との見方が一般的だ。

 前回選挙で、6、8区に連合兵庫との調整なしに社民の独自候補を擁立、当選させたことで地元・労組とのギクシャクも残っている。

 ただ、それでも7区で出馬を予定していた民主新人が直前になって社民との調整で9区に転出するなど、「おたかさんに関しては、5党協の亡霊がいる」との声もある。加えて、「西宮と芦屋両市は、社民党の逆風とおたかさん人気は別物。おたかさんが涙で窮状を訴えれば、議席を失うことはない」という有権者が多いのも事実だ。

 おたかさん落選は、即、社民党崩壊を意味する。それだけに絶対に負けるわけにはいかないが、社民党に関してはすでに“仮死状態”といえなくもない。

 小林良彰・慶応大学法学部教授は、「最近の有権者は、当選の可能性のない候補者は除外して投票するため、比例区の党名には社民と書いても、小選挙区では政権を争う自民か民主かを択一する傾向がある」と、指摘したうえでこう話す。

 「護憲か改憲か、といった対立争点よりも、景気回復といった方法論を問う合意争点に国民の視線は注がれている。いまの時代、『福祉の充実』を唱えても『財源はどうするの』と冷淡に扱われてしまうだけだ」

(吉村剛史)


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