三大ギタリストの中でも、最も日本になじみ深い68歳のエリック・クラプトンが、「最後になるかもしれない」ツアーで20回目の来日中だ。21日の日本武道館を覗いた。
約1万人で満杯の客席。飾り気のないシンプルな舞台の中央に、すっと現れたクラプトンは短髪にラフなシャツ。拍手に迎えられるや直立不動でギターを構え、「プリテンディング」のスローなイントロを奏で始めた。続く「キー・トゥ・ザ・ハイウェイ」でブルージーな弦が泣きまくる。職人技、いぶし銀といった形容詞を超え、「ギター仙人」と呼びたくなる。短く「コンバンワ」とあいさつした以外、MCらしいものはなく、アンコールを含めた18曲、約2時間が夢心地の中で過ぎて行く。
自分勝手だが、もし私が30〜40代の“若造”だったらこんな感想を持ったかもしれない。
「いとしのレイラはアンプラグドではなく、ロックバージョンで聴きたかった」「なぜ、チェンジ・ザ・ワールドをやってくれないのか」「17曲目のコケインでやっと総立ちかよ…」
会場を埋める“オトナ”達に溶け込むように座ったままスティーヴ・ガッドの地を這うようなドラムス、ネイザン・イーストが刻む確かなベースと、あ・うんの呼吸で奏でるクラプトンにひたれる至福を味わった。
クラプトンは今回のツアーに寄せ、「これまでの道のり、辛くもあり、しかしいつも私に喜びを与えてくれた長い旅が、そろそろ終わりに近づいてきました」と終幕を示唆しつつも、「もちろん、可能ならば、また戻ってきたい」とコメントしている。前言撤回、大いにけっこう。だが、今しか聴けない音もある。
23日に横浜アリーナ、26日に大阪城ホールなど。28日の武道館が日本での最終公演となる。 (中本裕己)




