前回は都会での地震被害、ビルから降る「ガラスの雨」の話だった。
しかし、地震は都会だけを襲うのではない。日本に多い過疎地域を襲う地震は、別の大きな問題を生じる。
能登半島地震。9年前の2007年3月末に起きたマグニチュード(M)6・9の地震だった。
石川県の面積の半分は能登半島だが、半島部分に住む人口は県全体の11パーセントしかない。被害の多かった2市2町の高齢者率は41パーセントを超えていた。典型的な高齢化した過疎地を襲った地震だった。
最大震度は「7に限りなく近い6強」だった。というのは、震度は震度計で観測した「計測震度」というものを四捨五入して、小数点以下を捨てて決める。
この地震では石川県輪島市門前町に設置してあった震度計の指示は6・4だった。もしこれが6・5だったら、四捨五入で震度7といういちばん強い震度になるところだったからである。
被害は1人が死亡、負傷者は全体で338人というものだったが、過疎地にとっては大被害だった。住宅は約2400棟が全半壊した。
震度や損壊住宅の数に比べて死者数が少なかったのは、都会と違って隣近所のつきあいがよくて、ふだんから近所の助け合いがあったためだった。何時頃、どの家には誰が、どこにいるのか。お互いが知っていることは、一刻を争う人命救助にはなによりも必要だからである。
地震が起きたときにいちばん問題だったのは要援護者の避難や支援だった。
自分では歩けない、あるいは歩けても健常者のように敏速には行動できない人たちは、地震で逃げ遅れる可能性が高い。




