【久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ】
大統領就任宣誓で「条件が整えば平壌にも行く」と明言した文在寅(ムン・ジェイン)・韓国大統領(64)の“親北度”に日米は懸念を深めている。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代の言動などから北朝鮮の言いなりという意味の「従北」と韓国保守層の厳しい批判を受けてきた文氏である。金正恩(キム・ジョンウン)氏の核ミサイル武装で一刻の猶予もない安保情勢の中、韓国が融和攻勢に転じれば北朝鮮は一気に息を吹き返す。文氏はどんな思想の持ち主なのか。その安全保障観を探ってみた。
■制裁に穴開ける南北交流
11日、日米首脳との電話会談を無難にこなした文大統領。対北政策では確かに「完全な北朝鮮の核廃棄」をお題目のように語るが、耳を澄ますと文氏の方法論は「経済支援で北朝鮮の変化を促す」という、“抱擁”一辺倒の対北政策なのだ。
文氏は選挙中に安保・対北政策「朝鮮半島平和構想」を発表した。社会、文化、スポーツなどの南北交流で緊張緩和を図るとし、(1)対話と交流(2)共同繁栄(3)平和体制構築のために「圧倒的な国防力を強化する」という。だが、これは盧武鉉時代の「朝鮮半島平和発展構想」の中身とほとんど同じである。
文氏の外交の持論は「韓国役割論」という。北東アジアの秩序は韓国が主導するというもので、いわく「南北関係をテコに中国や米国を説得」するという。
どこかで聞き覚えがある。そう、盧武鉉氏が主張した「自主防衛」「バランサー論」で、盧武鉉時代の強大国との等距離外交をアレンジしたものといえる。
さらに南北統一について文氏は、中長期的に南北経済統合(単一市場)を経て段階的な統一のビジョンを掲げている。これは韓国の金大中(キム・デジュン)元大統領、北朝鮮の金正日(ジョンイル)総書記による「南北共同宣言」(6・15共同宣言)2項にある、韓国が北朝鮮の主張を受け入れたと大問題になった「緩やかな連邦制を目指す」をそのまま踏襲している。




