ローズ氏に並んだ安打は、イチローらしい一打だった。1回先頭の1ボールからの2球目。ルーキー右腕ペルドモの投じた外角球を打ち損ない、捕手前に転がる弱いゴロ。俊足を飛ばして一塁を駆け抜け、メジャー最多安打に並んだ。
スタジアムの電光掲示板には、やや小さめではあったが、ローズ氏とイチローの安打数が並んで表示された。スタンドの観客が立ち上がって拍手を送ったが、塁上のイチローは無反応で、一塁手に声をかけられると苦笑いをみせただけだった。
そして、ついにやってきたローズ超えの瞬間。9回1死一塁からの第5打席。狙いすましたように鋭いライナーが右翼線に抜けた。1打席目より大きな声援が上がると、二塁塁上のイチローは、今度はヘルメットをとって声援に応えた。白くなった頭だけが年齢を感じさせる部分。笑顔は見せず精悍な表情で迎えた歴史的瞬間だった。
類い希なバットコントロールと内野安打を稼ぐスピードは衰えを感じさせない。高い守備力も息の長い現役生活を送っている理由だ。体調管理に余念がなく故障がないのも特筆される。この記録を上回る打者はそう簡単には現れないだろう。
小学校時代はバッティングセンターに通い、オリックスにドラフト4位で入団してから安打を積み重ねた。ヤンキースを経て、昨年マーリンズに控え外野手として移籍したが、少ない出場機会を確実に生かしてきた。









