米中首脳電話会談、第1ラウンドはバイデン氏優勢 人権弾圧や台湾への攻撃的姿勢など対中批判目立つ 中国側は焦り

 当時、台湾は「中国の正統政府は中華民国(すなわち台湾)」と主張していた。つまり、中国も台湾も「オマエはオレのもの」と言っていたのだ。米国はそんな双方の言い分を認識したにすぎない。

 それだけではない。

 国務省の東アジア・太平洋担当次官補は昨年8月、講演で「中国が言う『中国は1つの原則』と、米国の『中国は1つの政策』は異なる」と語った。そのうえで、中国共産党が武力で台湾を奪取しようとするなら「米国は台湾を支援する」と表明した。台湾問題に対する不介入政策の見直しを示唆したのである。

 そんな経緯があったので、中国はバイデン政権発足のタイミングで、改めて、「台湾はオレのものだぞ」と念押しすると同時に、国際的な宣伝効果を狙ったのだ。ここは、日本もしっかり両国の応酬を見極める必要がある。

 バイデン氏は相手の思惑など素知らぬ顔で、習氏との電話会談で「自由で開かれたインド太平洋」を守る決意や、不公正な経済慣行、香港、新疆ウイグルの人権弾圧や台湾への攻撃的姿勢を批判した。

 気候変動や核拡散などで協力する考えも打ち出しているが、相手の出方次第だろう。まず、「初戦第1ラウンドはバイデン政権の優勢」で終わった、とみていい。ボクシングは始まったばかりだ。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。

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