カミュの小説『ペスト』を読んでも、昔から疫病への対応といえば、市井の動きを止めることであるのは分かり切ったことである。
マスメディアに呼ばれるような「ド偉い先生方」のいうことは100%正しいのだろう。だがその正しさが、誰のための正しさかはボンヤリとしたままだ。
実際に私が住む中央線沿線では、ここ1年で明らかに人身事故により運行ストップが増えている。データを調べても2020年の自殺者数は前年より1000人近く増えた。それは11年ぶりの増加だという。コロナ禍の影響なのは言うまでもない。
だが、同時に株価は沸騰している。メルセデス・ベンツを売っている仲間いわく、「このご時世に、大きい声じゃ言えないような売れ方だ」といっていた。
その分断は経済学的には当たり前なのかもしれないが、人情としては理解したくない。「ド偉い先生方」はその理屈を理解しているが、大きな声ではいわない。自分たちが安全地帯にいるともいわない。
いずれは過ぎ去るのだろう。多くの人が、また楽しい日常がやってくると願ってもいる。
だが、この分断が残したものは自殺者の数が如実に語るように、生やさしいものではない。