ロシアによるウクライナ侵攻の余波で日本の歯科治療の現場が揺れている。銀歯の材料の一つであるパラジウムの値段が高騰してさまざまな影響が懸念されているからだ。ただ、ロシア情勢とは別に、銀歯からレジン(樹脂)やセラミックスなどの代替材料に置き換える動きも進んでいるという。過渡期にある歯科治療について最前線に立つ専門家に現状と見通しを聞いた。
パラジウムの高騰が話題となっているのはその主な産地がロシアであり、銀歯は、銀だけでなく金やパラジウムなどでつくられている合金だからだ。金属修復(銀歯など)の弱点が露呈した形だが、その少し前から、日本の歯科医療界で注目される学会が動き出していた。日本デジタル歯科学会だ。同学会を率いる末瀬一彦理事長はデジタルの技術によって最新の代替材料を導入し、歯科医療を変革しようとしている。
末瀬氏は次のように語る。
「虫歯や歯周病、外傷などで失われた歯に対してクラウン(冠)やブリッジ、入れ歯などの人工材料を用いて修復する補綴(ほてつ)治療も公的医療保険で給付され、安心して歯科医療が受けられます。この補綴治療は歯科医療費の約半分を占め、国民皆保険制度として歯科医療の根幹をなしています」
