海外店舗も今期は増やす。香港や台湾、シンガポールなどの既存地域に加え、アメリカ本土での焼肉出店計画も進行しており、円安シフトの経営を加速させる。
そうした中、ワタミの各事業のブランドマネージャーが月に1度集まる「ブランド向上会議」で、『ザ・ブランド・マーケティング』(実業之日本社)という本を配った。スターバックスやナイキのマーケティングを担当した著者が、ブランドマーケティングの基礎について解説した本だ。
この本には私の恩師の教えと通じるものがあった。スターバックスには「バーガーショップは客の食欲を満たすが、コーヒーショップは魂を満たす」という言葉があると紹介している。これは私が居酒屋「つぼ八」の創業者、石井誠二さんから受けた「居酒屋というのは飲んで食べる場所じゃない、人を元気にする場所だ」という教えとまったく同じだ。
街中で、いまだに「昔よく、居食屋和民で飲んでいました」と声をかけられることがある。本の中に「ブランドとは記憶の総和」と定義している、私は「ブランドとは思いでの小箱」だと思う。多くの人の記憶にブランド名を浸透させていく。そのためには、魂を込めなければ成り立たない。
「居食屋和民」は、ひざつき接客や、手作りにこだわるなど、魂を込めていた。全ブランドマネージャーには「魂を込めているもの」「ワタミの事実」を、もう一度ポスターにしてお店に貼るよう指示した。
悪いニュースは大きく、いいニュースは小さいものだ。それでも、小さな事実を積み重ねていきたい。それがブランド作りの王道だと思う。 (ワタミ代表取締役会長兼社長 渡邉美樹)
