上武大学の田中秀臣教授(日本経済論、経済思想史)は「終身雇用や年功序列といった日本の雇用慣行は、好況時の人手不足の際に企業のアピール材料として盛り上がり、不況時にはやり玉にあがる形が長年続いてきた。現在は増税したいがために問題視しているだけではないか」といぶかる。
「雇用の流動化」を掲げる岸田政権が打ち出す税制の見直しは、総じて同じ会社でコツコツと長年勤めてきたサラリーマンを狙い撃ちする内容といえる。
田中氏は「政府が本来すべきことは景気を良くして人手不足の環境を作ることだ。長引いたデフレで現在の40~50代が転職したくても移れないような環境をつくっておきながら、いまになって長期で安定した働き方を否定するのは倫理的にも問題だ。景気が悪くなれば企業は経験が乏しい人を採用しなくなるリスクも考えられるので、雇用の流動化は図られるかもあやしい」と喝破した。
