スコットランド生まれの英俳優、ショーン・コネリーさんが先日、亡くなった。90歳だった。
007の主役、初代ジェームズ・ボンド役を射止め、国際的な知名度の階段を上り始めた。シリーズ第1作『ドクター・ノオ』の公開は1962年。同じ頃、英仏海峡を挟んだフランスで一足早く人気の上昇気流に乗っていた俳優がジャン=ポール・ベルモンド、87歳。同時代人といっても差し支えないだろう。
東京・新宿武蔵野館や大阪・テアトル梅田で現在、「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」が上映中だ。作品は62年から81年に公開された『大盗賊』『大頭脳』『恐怖に襲われた街』『危険を買う男』『オー!』『ムッシュとマドモアゼル』『警部』『プロフェッショナル』の8作。
ベルモンドといえば、ジャン=リュック・ゴダール監督の『勝手にしやがれ』のクールな犯罪者役で世界的にブレーク。ヌーベル・ヴァーグを代表するスターになった。
今回の「傑作選」で見ることができるベルモンドは、ヌーベル・ヴァーグの世界観以外の顔。アクションスター、コメディースターとしての魅力に満ちている。
今なら所属事務所がストップしかねないむちゃなアクションにも、スタントなしで挑戦。ヘリコプターにぶら下がったり、カーチェイスをしたり、走る列車の屋根で工作をしたりとヒヤヒヤものシーンの連続だ。
いやぁ、本当にカッコいい。ほっそりとした体格で、敵の裏をかき頭脳戦を仕掛けるベルモンドの姿は『ルパン三世』のモデルになったほど。
日本にまだバブル景気の余波が残っていた92年3月、今はない新宿厚生年金会館で、ベルモンド主演の舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』を見た。キレのある動きと、速射砲のように繰り出すせりふ。舞台の上部に設置された字幕ボードを読むのに必死だったが、フランス語の音の美しさと激しさに圧倒された。
2011年のドキュメンタリー映画を最後に、スクリーンから遠ざかっている。「~傑作選」には若きベルモンドの息遣いが感じられる。当時のファッションにヘアスタイル、パリの街並みなども美しく、懐かしいと同時に新鮮だ。そのすべてにベルモンドがはまる。公園のベンチで赤ワインをラッパ飲みしてフランスパンを食べる。そんなシーンでさえ、まねたくなるほどかっこいい。
