3回目の緊急事態宣言が東京都などに発令されてから早くも1カ月が過ぎ、さらに延長されることになった。
そんなご時世ではあるが、私たち「のんべえ」にとって、居酒屋がなくなってしまった状況というのは言葉では表現できないつらさだ。
まさに「なくなって初めて分かる大切さ」とはこのことだろう。私たち「のんべえ」がどれ程までに居酒屋に依存していたことがよく分かった。
ちなみに、高級なオーセンティックバーやおしゃれなレストランではその代わりにならない。
これは「居酒屋」という日本独自の飲食文化なのだ。なじみの店で、自分好みのアルコールを多様な料理と組み合わせ、気心知れた仲間と大いに楽しむ。これは他の飲食店形態では不可能な、独自の「自由空間」だ。
言うまでもなく、私には「超常連」の渋い居酒屋がある。電話1本でお気に入りの席を取っておいてくれて、席に座ると同時に、キンキンに冷えた瓶ビール大瓶と凍った小グラスを黙っておいてくれるような店だ。
そして、私が1本目の大瓶を飲み干す寸前のタイミングで、今日のおすすめをぶっきら棒に言ってくれる。
私も言われるままだ。そして出てきた料理に悶絶(もんぜつ)する。こういう店を知ってしまうと、もうイタリアンだのフレンチなどに行く気がうせてしまう。
20代の頃、某有名な俳優の先輩に、とある有名な居酒屋に連れていってもらった。驚くほどにおいしい料理を出す店であったが、店主は若者などには決して笑顔を見せないようなタイプだった。