緊急事態宣言明け、なじみの居酒屋に1人で出向いた。前日から直接、店主に電話をして、店の隅にあるお気に入りのテーブルを予約した。
久しぶりのガチンコ飲みである。その日は万全の態勢で挑もうと、昼過ぎからスポーツジムで、サウナとランニングマシンで2キロ近い水分を放出した。
もちろん、そのまま脱水状態で酒を飲むのは肝臓に一番悪いので、運動後に水分はしっかりと補給済み。
開店5分前に店につくと、すでに顔見知りの常連客が店の前で立っていた。余計な言葉は交わさないが、この日を待っていたのは言うまでもない。
この日に1人で来たのには意味がある。
東京都の酒類提供の要件は「2人以内、午後7時まで、滞在時間は90分以内」とある。つまり90分一本勝負だ。
日本酒造青年協議会認定の「酒サムライ」であり、またホッピー本社公認の「ホッピー大使」というプロ呑み師である私としては、ペチャクチャとおしゃべりをして、記念すべき合法90分を無駄にするわけにはいかないのである。
店が開くと同時に、並んでいた常連客たちの表情に緊張が走る。
席に座ると同時に店主が黙って「大瓶」を持ってきた。プロ呑み師である私が通うこの店は、中央線で一番うまい瓶ビールを出す店なのだ。
瓶ビールの表面はうっすらと濡れている。言うまでもなく、瓶ビールは「水冷式」が必須だ。