他人さまの夫婦トラブル話を聞いていると、自分たち夫婦は、いろいろな部分で価値観が一致するほうだと思う。
そもそも、わが家のような子供のいない中年夫婦間で、大筋の価値観が合わないというのは致命的だ。やはり「子はカスガイ」というのは本当だ。「カスガイ」がない構造の建物は、ちょっとした地震でも倒壊する。夫婦も、恋愛モードが消滅した途端に瓦解(がかい)するであろう。
私と妻の趣味趣向はまったくズレている。例えば、私が大好きな「ホラー」や「アウトドア」が妻は大嫌いだ。そういう遊びの時間を共有することはほぼない。
だが、経済観念や衣食住に関わることにおいて、大きく意見が異なることはない。育った環境や地域性など、「基礎」の部分が似ているのかもしれない。
だが私が唯一、妻の行動でのみ込めないのは、「無類のお酢好き」ということだ。お酢が健康に良いのは分かっているが、居酒屋や町中華などに行くと、妻は何にでもお酢をかけてしまう。結婚した当初はそれを微妙に隠していたのだが、結婚生活10年にもなると、いよいよやりたい放題である。
私は無類の料理が好きということもあり、それを作った料理人がどういう過程を経て、その味にたどり着いたのだろうということを考える。それが高級店ではなく、量とコスパが最優先の、撮影スタジオの食堂などでも同じだ。
そういう食堂などでは好きに「味変」してくださいと言わんばかりに、テーブルの上に、しょう油、お酢、タバスコ、辛子、マヨネーズが並んでいる。