「僕は最初、その水族館の弱点に注目するんです。どんな弱点があるのか、よそに負けるのはなぜということにです」
数々の水族館のリニューアルを手がけ、成功に導いてきたプロデューサー。そのユニークな発想は、逆転の思考から生まれていた。
取材場所のサンシャイン水族館(東京・池袋)がその典型例だ。周囲に海のない大都会のど真ん中、高層ビルの屋上というロケーションは弱点だらけだったという。
「水を屋上に上げるためにコストもかかるし、重いから大量に使えない。屋上には屋根も作れないし、今はテントも作れない。『だったら、水槽で雨よけもできるじゃないか』というような発想になるわけです」
頭上に水槽があり、アシカが空を飛んでいるように見える展示は、逆境を逆手に取る形で生まれた。
今年7月のリニューアルでは、大都会の水族館でしか作り得ない新たな展示が誕生した。
ペンギンが池袋のビル群を背景にして、のびのびと泳いでいるのが見られる「天空のペンギン」だ。
「あれはね、ビルがないと空に見えないんですよ。ビルがあるからいいんですよ。屋上でやっているという弱点をフルに使っていくと、逆にいいものができるんです」と語る。