アメリカのプロ野球の構造が大きく変わるかもしれない。
ヒューストン・アストロズによるスパイ疑惑のことではない。サイン盗み、コルクバット、スピットボールなど、あるものはインチキといい、あるものはテクニックという、こういう類の“悪さ”はなくならないし、どこか可笑しさがある。
地殻変動を起こしかねないのはMLBが公表した、172ある傘下球団(MiLB球団)を120に削減する計画だ。
MLB傘下には2軍にあたるAAA、3軍にあたるAAから、7軍にあたるルーキー(Rk)まで7階層、231球団ある。そのうち法人は172球団だが、12球団はMLB球団の直営。つまり172から12を引いた160球団が、MLBとの協定(プロフェッショナル・ベースボール・アグリーメント=PBA)のもと、独立した事業体として興行をしている。
PBAとは各球団のテリトリー、スタジアムなど施設の要件、MLB球団への上納金などの規約だ。MiLB球団は、MLB球団と契約した選手の育成・調整の場であることが大前提。MLB側は選手、指導者、トレーナーなどのスタッフの人件費と福利厚生、ボールやバットなどの用具、備品の費用を負担する。
このようなスキームで、メジャーから預かった選手を“元手”に独立採算で興行を行うMiLBは、地域の廉価なファミリー・エンターテインメントとして、2019年は1試合平均4044人、総計では15年連続して4000万人を超えるなど観客動員も好調。アメリカの野球観戦文化を下支えする存在である。