【元阪神ドラ1伊藤隼太 戦力外からのハローワーク(3)】
チーム編成を若手に切り替える過渡期の阪神は昨年オフ、福留(現中日)、能見(現オリックス)ら功労者のベテランにも戦力外を通告した。
「2人とも自分の引き際にこだわり、ユニホームを脱げる方だと思いますが、僕は違う。現実をちゃんと見ておかないといけなかった」。同じクビでも、伊藤は自分の置かれた立場の違いは理解していたつもりだった。一向に1軍に呼ばれず、シーズン終盤を迎えるまで「クビを宣告されたら即、球界を去ろう」と覚悟していたはずが、2軍最終戦で代打がコールされず悔しい自分がいた。
自身の公式SNSにはコロナ感染後、厳しいバッシングが寄せられてきたが、戦力外が発表されて以降はファンから「応援してます」など1日最大700件ほどの書き込みがあった。「再び心にスイッチが入り、現役続行の可能性が1%でもあるならと。自分の中でのケジメとしてトライアウト参加を決めました」
トライアウト前日の12月6日には、「初心に戻れる貴重な場所」と選んだ母校、慶大のグラウンドで汗を流した。迎えた本番の舞台は慶大時代に慣れ親しんだ神宮球場。そこに素晴らしい出会いがあった。14年ぶりのNPB復帰を目指す新庄剛志氏(49)と初対面。阪神など日米球団で活躍したスーパースターに対し、話題づくりでの参加と見る向きも多かったが、伊藤はじかに接してみて破天荒なイメージを裏切られた。
