その傲慢さが改めて示されたのは昨年夏だった。彼は「田舎暮らしがしたい」と思い立ち、世宗(セジョン)市郊外に家を新築した。が、住んでみると、堆肥の臭いがすごい。
彼は世宗市長(民主党)に「何とかしろ」と電話した。市長と市の幹部が続々と現れ、近隣の農家と接触した。そこで何があったかは明らかではないが、堆肥と混ぜられていた土15トンがただちに撤去された。
農家はその後どうするのか-など、彼の頭にはないのだろう。
李氏は今回の大統領選挙の応援演説で「(われわれが政権を取ったら)保守派を壊滅させてやる」と叫んだ。そして、中国への大統領特使に決まった。
大統領がいくら「庶民の顔」を見せても、その側近には林、李両氏と同質の人々がたくさんいる。彼らが旧悪(朴槿恵=パク・クネ=前大統領)を追放して「新悪」になった人々として台頭する日は、そう遠くあるまい。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員などを経て、評論活動に。主な著書に「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。