多くの方が「リモートワーク」という言葉を当たり前のように使い始めてから、もう1年以上という時が流れている。
私たちエンタメ業界も打ち合わせなどで、zoomミーティングを使用することが当たり前となった。
しかし、何度経験しても、昭和組には違和感しか残らない。まるで薄っぺらな説明書を渡されたよう。簡単なことだ。
人間には五感があるというのに、使うのは「視」「聴」という2つの情報だけだからだ。残りの3つ、「嗅」「味」「触」が抜けている。
一見、打ち合わせには関係ないような残り3つの感覚ではある。だが過去を思い返すと、ベテラン監督が付けていた高級整髪料の香りが妙に心地良く感じ、それが作品への安心感につながったこともある。
また制作会社のソファが汚いと思っていたら、案の定、結果の出ない作品であったことも。
五感以上に、人間は雑多な情報を元に総合判断しているに他ならない。
また一昔前では、ドラマや映画に出演する際、撮影が始まる前に役者と監督が飲食を伴う会合をすることは当たり前であった。
撮影の合間に「同じ釜の飯を食う」ということもあった。ひとつの作品が完成する頃には、役者と監督、スタッフが家族的な感覚になることもある。
当然、ここ1年で参加した作品においては、そんなことは望むこともできない。集まった俳優と監督スタッフたちが、台本通りに芝居をして、互いに心が打ち解けるまでもなく解散。撮影が終わると共演者や監督の名前も忘れてしまう。