夕刊フジが創刊した1969(昭和44)年、映画界では記念碑的な作品が誕生した。映画「男はつらいよ」(山田洋次監督)の第1作が公開されたのだ。以降、人気シリーズとして、50年にわたって続くことになる。
もともとは68年10月~69年3月にフジテレビ系で放送された同名のテレビドラマがベースになっている。「寅さん」こと車寅次郎を演じる渥美清と妹さくら役の倍賞千恵子、寅さんが淡い恋心を抱くマドンナ、そして下町の人々が繰り広げるペーソスも織り交ぜた人情喜劇は松竹の〝ドル箱〟となるほど人気を博す。
第1作の3カ月後には第2作「続・男はつらいよ」が、翌70年には立て続けに3作も制作されたのは60年代まで隆盛だったプログラムピクチャー時代の名残だろう。
ちなみに邦画配給収入ランキングにランクインするのは、第8作の「寅次郎恋歌」(71年)になってからのことだ。
69年の邦画配収ランキングでは、石原裕次郎主演の「栄光への5000キロ」(蔵原惟繕監督)が1位となっているが、注目は2位に入った「超高層のあけぼの」(関川秀雄監督)だろう。
