■松原氏「取り返しがつかなくなる」
与党だけでなく、野党からも懸念が出ている。
立憲民主党の松原仁元拉致問題担当相は「尹政権は保守派で『対日・対米重視』だが、韓国で将来、政権が交代すればその方針は不透明だ。外交で中途半端な事実認定や妥協をすれば、それが既成事実化して取り返しがつかない。自衛隊を危険にさらすことになる」と怒りを示す。
レーダー照射事件は、「反日」暴挙が相次いだ文前政権を象徴する事件だ。韓国の政権交代を受けて、岸田首相と尹大統領は3月、日韓首脳会談で関係改善を合意した。4月には日韓外務・防衛当局の安保対話が5年ぶりに再開し、5月29日には、海自護衛艦が韓国・釜山港に「旭日旗(自衛艦旗)」を掲げ入港した。
だが、松原氏は「確かに韓国政府の対応は『正常化』に向かっているが、過剰に評価せず、冷静に受け止め、推移を見守るべきだ」と指摘する。
岸田政権は今後、韓国にどう対峙(たいじ)すべきか。
朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「尹政権が日韓関係改善に動いたのは、韓国が安全保障や経済など、多方面で危機に直面しているからだ。彼らの国益を前提にした冷徹な判断が根底にある。日本的な『譲り合いの精神』が外交的に奏功した事例は皆無で、他国からすれば『付け込む対象』にしかならない。特に、韓国にはストレートな主張をしなければ、意図が伝わらない。日本のレーダー照射事件への強い怒り、問題意識を伝えるべきだ。日本は国益や守るべき立場を絶対に崩してはならない。このままでは、大きな禍根を残しかねない」と指摘した。
海自哨戒機(手前)に向けてレーダー照射する韓国海軍の駆逐艦(防衛省提供)