審査員たちからは「ぶっ飛んでいる!」と高評価。研究は「破壊的な挑戦部門」に採択された。
その結果誕生したのが、家庭やオフィスで空気清浄機のように扱えて、二酸化炭素を直接吸収する装置「ひやっしー」だ。特殊な薬品を内蔵していて、空気中の二酸化炭素だけを取り込み、酸素など他の気体は排出する仕組み。開発した「ひやっしー」を本格的に販売していこうと、東京大学在学中に、一般社団法人炭素回収技術研究機構(CRRA)を設立した。
「でも、設立したのが2020年4月7日で、コロナ禍の緊急事態宣言が初めて出た日だったんです。立ち上げた直後からオフィスに行けなくなってしまって。家賃を払うためにウーバーイーツの配達をしたり、まさに自転車操業。1日1個のおにぎりを食べながら、高級なおすしを届ける。半泣き状態でした」
どん底状態でのスタートとなったが、自動車会社からの大口注文が入ってV字回復。現在では研究に携わるスタッフも20人まで増え、国内のみならず欧州や中東から注文が入るほどに。回収した二酸化炭素を合成して石油代替燃料を生み出す研究も進めている。
「2030年までに温暖化の完全な解決を目指しています。地球を守り、火星を開拓するのが僕たちのテーマです」
あと7年。そのとき世界はどうなっているだろうか。
■村木風海(むらき・かずみ) 化学者、発明家。一般社団法人炭素回収技術研究機構(CRRA)代表理事・機構長。2000年8月18日生まれ、22歳。山梨県出身。二酸化炭素吸収装置の研究で17年に総務省「異能vationプログラム」の「破壊的な挑戦部門」に採択される。21年、内閣府ムーンショットアンバサダーに就任。今年、CRRAでの研究に専念するため、東京大学工学部化学生命工学科を満期退学した。人生計画では25歳までに結婚する予定。